ブログ 強制不妊−優生保護法
2026/01/22
強制不妊手術被害者への国家賠償1年、
たったの2%にも満たず
<参照資料>
1 河北新報.国策の誤り「教科書明記を」、旧優生保護法補償法施行1年、被害者側が要望書提出.2026年1月12日、22面.
2 KHB東北放送.旧優生保護法による被害者への補償法、施行から1年、被害者認定進まず.2026年1月16日、16:35.
3 宗岡圭介、近森歌音.旧優生 補償進まず、法施行から1年、被害者掘り起こし難航―個別通知 悩む自治体、支援団体「国が後押しを」.毎日新聞、2026年1月17日、20面.
4 佐々木薫子.① 申請低調 認定2%満たず、旧優生保護法 補償法施行1年−東北宮城の155件最多:名誉回復赤信号状態 ②優生連・藤井克徳共同代表 一問一答、名誉回復 赤信号状態−再発防止 予算措置を.河北新報、2026年1月17日、17面.
5 河北新報.首相謝罪「補償届けたい」、原告「被害者名乗り出て」、旧優生保護法 補償法施行1年.2026年1月22日、24面。
中挫している優生保護ブログも2、3編ほどあるが、これに関わらず、久方ぶりに記録する。
優生保護法による強制不妊手術への国家賠償法(補償)の施行から1月17日で1年が経過した。これに先立ち、1月12日、河北新報は貴重な記事を掲載した。昨年2025年9月に開催された政府側の定期協議で、被害者側が見出しの如く、「戦後最大の人権侵害」を「教科書に明記」するよう求めているとのこと。2022年3月に東京高裁勝訴判決文に明記されているとあり、具体例の一つが50年代の高校生物の教科書には「悪質形質の保持者に対しては断種法も考慮されなければならない」という記述であり、また露骨な差別的記述もあるとのこと。
この記事が優れている点は、2005年のハンセン病患者の強制隔離などを教科書で規定するに至らなかった例を引いて論じたことである。時折に紙面に載るたとえばヒバクシャ、ミナマタ、フクシマなどの各種被害者の救済関連報道を見るに、教科書での記述があるのかないのか、あるとすればどのように記述内容が変遷してきたかは、比較論考として重要な関心事となっていてよい。
2024年7月の強制不妊手術は憲法違反とした最高裁での判決は完全勝訴であるに関わらず、強制不妊被害者への救済と称する補償は遅々として進んでいない。理由は単純である。被害者側は告知されておらず、また秘匿し、ましてや毎日新聞遠藤大志記者が言う如く宮城県では手術台帳の一部が紛失していて、とどのつまりは被害者がひどく高齢化してしまっていて、歴史に埋もれており、更に辛うじて残されている相談記録も黒塗り開示ではどうにもならない。この事態を「優生保護法問題の全面解決をめざす全国連絡会」の藤井克徳共同代表は、被害者の尊厳と名誉の回復が赤信号状態とした。
赤信号の原因を超えて起因を遡れば、その一つの視点に、障害者への強制不妊を根拠とした優生思想の条項が削除された優生保護法(1948〜)が1996年に母体保護法に改訂された時点にあり、新法制定時に強制不妊を受けた被害者への謝罪や補償を組み込む条項が完全に抜け落ちたからと指摘されています。今から30年前ですから、断種・強制不妊の被害者も大分若かった。その当時ならば、強制不妊の資料も探しやすかったかもしれない。
とまれ、法による行政の主語たる政府側は被害者側に約束したはずの定期協議(基本合意書)のもと、戦後最大の人権侵害の原因を究明する努力を可及的迅速に、そして強力に行う責務がある。補償救済の相手は超高齢の被害者である。新里宏二全国被害者弁護団共同代表が石破茂前首相との面談時に要望したように、所管のこども家庭庁は遅きに失さないよう各県に明確に具体的な指示を出さなければならない。被害者への個別通知は各県の裁量に任せられた状態ではものが動かないのが一例だ。なお、当方の視点からは被害者個人への個別通知は、何よりも被害者国民の尊厳のため、名誉を回復するために「国が謝罪する」というあだや疎かにはできない大切な厳粛な儀式となるものである。
さて、国が後押しをしなければ後処理を丸投げされた各県に望めることは相当に限られるし、県の違いはおろか、同じ県内で被害者全員に平等に公平であることも難しい。河北新報の佐々木薫子記者は藤井との取材記事で、国家賠償策について見出しの一つに「予算措置」の用語も選定したのは的確であった。このままでは同種の国家犯罪の再発防止にはなかなか繋がっていかず、藤井が予言するがごときとなる。昨年10月1日に始まった日弁連法務研究財団に託された検証会議が早速に、そして急ピッチで検証作業を進めることができるか、注視したい。
憂うべき1年であった。
なお、資料4のように河北新報は近時記者名を掲載するようになってきたようだ。グッドニュースだ。
(Drソガ)
1 河北新報.国策の誤り「教科書明記を」、旧優生保護法補償法施行1年、被害者側が要望書提出.2026年1月12日、22面.
2 KHB東北放送.旧優生保護法による被害者への補償法、施行から1年、被害者認定進まず.2026年1月16日、16:35.
3 宗岡圭介、近森歌音.旧優生 補償進まず、法施行から1年、被害者掘り起こし難航―個別通知 悩む自治体、支援団体「国が後押しを」.毎日新聞、2026年1月17日、20面.
4 佐々木薫子.① 申請低調 認定2%満たず、旧優生保護法 補償法施行1年−東北宮城の155件最多:名誉回復赤信号状態 ②優生連・藤井克徳共同代表 一問一答、名誉回復 赤信号状態−再発防止 予算措置を.河北新報、2026年1月17日、17面.
5 河北新報.首相謝罪「補償届けたい」、原告「被害者名乗り出て」、旧優生保護法 補償法施行1年.2026年1月22日、24面。





