ベーテルブログ
最後の白樺、逝きたまう
2025/06/26
ベーテルの裏山に白樺を数本並べたのは二十数年にもなる。平地に白樺は育たず、在所の庭に並べた数本の白樺もいずれ根元が朽ちて枯れ果ててしまったものだ。とある年に、日当たりが悪い隣家の境の狭い通り道、そこはいわゆる採石砂利で敷き詰められていたが、その上に白樺の子ども達が発芽してくれた幸運があった。幸運とは、その後、そこに発芽することはなかったからだが、これをベーテルの裏山境の土手に丁寧に並べた。紫陽花と白樺を順に植えた。白樺はそれなりに大きくなってから、そうであれ、美事に朽ち果てて倒れた。倒木はしばらくの間、飾り樹木としてベーテル玄関の入り口に飾っておいた。とある患者さんのお父さんが蔓が巻き付いた手作り木工細工のデコレーションをプレゼントしてくれた。板木の化粧板には「お大事に」と書き添えてあり、外来の患者さんはまた来たよとご挨拶をなさってくれたはずです。
最後の一本になって久しい白樺が、午後に降り注いだ6月25日の夕方、18時過ぎに山側の外来ホール大窓に大窓に届かんとばかりに倒れこんでいた。駐車場には車もなく、帰宅を急ぐスタッフも襲われず、幸い何も被害はなく済んだ。翌朝、作業療法士長有賀穰が倒れた幹の根元を切り取り、無事伐採作業を終えた。樹径20cmにもなる立派なものだった。白樺にありがちな根腐れもなく、幹の中が虫に食われて穴が空いてもおらず、きれいな切り口だった。もともと山肌を削いでいるので、山土は浅く薄いので、茂って勢いのある葉水の重みに耐えかねたのであろう。山際情報にせり上がる根はか細く、よく耐えて立派に生きてきたねと驚いた。
その白樺を見送った翌日に、もう一本の白樺が倒れているのが発見された。こちらは樹高も低かったが、型の如く根がいわゆるカミキリ虫の類いにやられていた。よくこれまで生きていたねと、細身で頑張り続けていたと褒めてあげたいほどだ。
全国的な猛暑の中の梅雨の雨が、25日午後に、また26日にも降り注いだ。葉水の重みか、根張りの軽さか。いずれ、両方だろう。
通りがかった方々や車に被害が及んだかもしれず、ゆくゆく山木には気をつけなければならない。とはいえ、裏山は所有者が入り組んでいて、30メートルは優に超える杉木立だ。また、もうお会いできない、とある友人がその名を知る、とある蝉が好む大木が何本かある。無教養の当方はたまたまトトロの木としているが、名付けられないのが残念だ。時代であれば、所望なさる方もいらっしゃったかもしれない。杉にいたっては昔は燃料として使われた時代もあったろうが、今は用なしだ。とはいえ、ベーテルの杉林ではないのでどうなるのか。危機管理としては頭が痛い。
雨が降れば、災害となることもあり得るが、通常は山水を吸い取ってくれる恵みの杉山なのだが。 (Drソガ)