2025/06/10
基本合意書に基づく初回定期協議は開催されたが
強制不妊補償法支給認定、東北は36件
ブログ 優生保護法
<出処>
① 山口桂子.「我が事」向き合う責任を、[旧優生保護法 被害者救済始まる].毎日新聞、2025年4月24日、4面(オピニオン、記者の目).
② 藤井克徳.障害者に対する偏見や差別のない共生社会の実現に向けた行動計画等に関する見解.日本障害者協議会、2025年2月10日.
https://www.jdnet.gr.jp/opinion/2024/2502131.html
③ 河北新報.強制不妊 差別根絶図る−政府、部会設置し具体策.2025年5月11日、2面.
④ 佐々木薫子(編集部).東北の支給認定36件、強制不妊補償法施行4ヶ月、請求に心理的障壁の声も.河北新報、2025年6月8日、3面.
国際てんかんデイに協奏するご当地版SCAPE VIIでは、強制不妊国家賠償訴訟の最高裁大法廷判決完全勝訴(2024年7月3日)を導いた新里宏二弁護士から直接のご講話を頂戴できた。その講義録は第57回仙台てんかん医学市民講座EPLS第57回(春期第33回)開催の6月14日に発刊されるので、是非ご拝読(136-152頁)を頂戴したい。
さて、強制不妊補償法が施行されて4月以上を過ぎた現在、新聞紙上でも優生保護法関連の記事が掲載されることは珍しくなった。そうなると、強制不妊の見出しがある新聞記事にあたると嬉しくもなる。6月8日、河北新報は4月末までのこども家庭庁調べによる補償金認定の全国状況を伝えた。全国では303件で、東北6県の認定は36件であった。また、全国での請求総件数は1325件のなか、強制不妊件数では全国第二位を飾る宮城県は154件であったとした。なお、宮城県での相談件数はその3倍にあたるとのこと。いずれも全国で最高数とのこと。この数字は新里先生のお力が与っているであろう。
いずれ、さしあたり重要なのは、法施行後3月間にあった相談件数が今後請求に至る事例が増加していくのかであるが、記事はこれに言及はない。一方、先にも指摘されているが、新たに審査を必要とした請求審査での認定件数は27件に留まっている。事態の推移は素人筋には先は読めない。毎日の山口桂子記者の記事の中で、「報償法の申請手続きの煩雑さも、<自分の課題>という視点が欠けているのではないか」と述べている。短文で解読に難しさがあるが、<共生社会を作っていく側>を、<自分>と読める。つまり、自分が被害者であり、<我が事>なのだ。
「政府は、旧優生保護法下で強制不妊手術を受けた被害者らへの差別根絶にむけた定期協議(基本合意の一つ)を巡り、人権教育の推進などテーマ別に三つの作業部会を設置する方針を固めた」と、5月11日の河北新報が伝えた。障害者差別解消法との関連などは素人の当方は知る由もないが、部会報告はとりあえず年一回開催の定期協議に反映させるとあり、記事面からは今年度はいつとなるのだろうか。それまでに相当の事態の進展を見ることができるかもしれない。新里先生のご手腕に期待したい。
なお、この定期協議については、JD日本障害者協議会の代表藤井克徳氏が見解を発表しているのでご参照ください。
(Drソガ)
① 山口桂子.「我が事」向き合う責任を、[旧優生保護法 被害者救済始まる].毎日新聞、2025年4月24日、4面(オピニオン、記者の目).