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ベーテルブログ 2022年3月16日宮城・福島県沖大地震 3.112011は千年一度の災禍ではない それでも 七転び八起きのダルマ

2022317

 

ベーテルブログ

2022316日宮城・福島県沖大地震

 

3.112011千年一度災禍ではない

それでも 七転び八起きのダルマ

 

   河北新報.2022年3月17日.巻頭、宮城、福島 震度6強ー推定M7.3.

 

 

 昨夜はそれなりだった。2336分から立て続けに激震が襲った。当直室の浴槽の湯がうねりながら外に浴びせかけている。室外を点検する。当院は全ての部屋の扉は開放管理で閉めないが、扉すべてが勝手に閉まっている。これだけで、住み慣れた病院も別の建物のようだ。

 当方が階下に降りようとすると防火シャッターが閉まっており、異様だ。同時にそのシャッターがあちらから開く。若く美しい看護師が上がってきたのだ。当方の姿を認めて彼女は問う。「先生、大丈夫ですか」。もちろん大丈夫。

ここでは何も起きはしない。屋上から始めて、狭い敷地ながら、院境まで確かめに歩く。MRI室屋上のウィンターチューリップのプランターが倒れていないことも確認する。

 そのうち、防災委員会のメンバーたるスタッフ達がぞくぞくと揃う。各人が役割通りに被害を点検し終えて、集合したのは1時過ぎ。大過なし。一番心配する停電や断水は後続しない。MRIEEG含めて、すべての電子機器は作動する。ボイラーを作動させる。さすが地震慣れしておろうが、びっくりしたはずの入院患児者も事態に動じない。菊池崇大委員長からまとめの言葉があり、明日、つまり今日中に報告書が上げることとして散会だが、余震への警戒を説く。皆無事にお帰り。

ベーテルは幸い山の辺にあり、大津波が襲ってこようとて、さしあたり心配はない。が、スタッフの中には既に避難を急かされている者もいる。緊急連絡網からは便りなし。些少の取るに足らない事態は発生しているとて、さしあたりベーテル自体に大事となることは予測されない。自家発電も準備された。

 

 2011年の3.11は手だてを絶たれて、突然に寒かった。今年2022年は暖冬で季節を忘れてかけているが、お彼岸まで十日もある2011年の3.11は殊の外寒かった。気づけば、昔風情の「見上げれば満天の星空」が何日か拝めた。間もなく停電が解消し今の夜空に戻ってしまったが。とおに忘れてしまった昔。3.11って、警告だったんだ、が、この時代では議論の前提の確信。

 

さてさて、こんななか一つだけをご紹介させていただく。ダルマさんだ。ベーテルのスタッフルームの書架の上に飾った小さな寅ダルマも落ちていたのに気づいた。縁起物なので、もちろん壊れてしまったら、私たちが与り得るホントにちっちゃな福すらメチャメチャになってしまう、と大事にしている。だからだろう、何と食卓椅子の上に、どうだいと言わんばかりに得意げにお座りで、転がっていないし、割れてもいないし、紙なのでへこんでもいよう。ながら、狼狽えるな、と偉そうで、あちらを視ていて心配げなこちらには目もくれず、威風堂々の姿。七転びだったろうと思う。一度、床に真っ逆さまに床に堕ちて、翻り布地の椅子に飛んだかもしれない。寅ダルマはやってのけた。美事な曲芸だったろう。ありがたい。私たちには八起きする力は無いが、見習うよ。

 

私たちは一々の地震に狼狽えることはない。3.11以来、幾つも大型の地震の繰り返しが身に染みて、既に覚悟ができあがっている。地震があれば、これで終わりってこともある、だ。とて、怪我したり、下敷きになったら、ホントに痛いだろうな、苦しいだろうな、耐えられないだろうな。そして、これ以上に見苦しくはなれないほど、騒ぎ回るだろう。その姿を、醜さ極まりない、と人は言い続けてきた。

そうだろうか。それはそうであって、神様がくれた生身だから、とても素直なままで、そのままなので、事実の美しさとなる。素直にそのままで、そのまま美しいと呼ぼう。救う、救われるだけの今の世のみすぼらしさと別れたい。

とて、ならば、さっさと息絶えられるならば、なんぼ楽かな、と希う。というよりは、心からそう、祈っている。

だから、楽な地震を待っていて、いいんだよね。

 

本日の寂聴曰く、

この世は四苦八苦に満ちています。

生きていれば、誰でも必ず苦しい目に遭います。

苦しみの中にいるのは、あなた一人ではありません。           

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