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今週のこの記事一つ:番外21―202108-03(21) 天声人語 (連チャンになってしまったが) パルス・オキシメーター

2021/08/30

今週のこの記事一つ:番外21202108-03(21)

 

天声人語 (連チャンになってしまったが)

パルス・オキシメーター

 

朝日新聞.2021828日.

 

本日から二年に一度の国際てんかん学会ILAEの第34回コングレスIEC-2021WEB会議が始まる。当方は準備が悪く、参加できない。先に本ブログの初期にお伝えしたが、昨年はEILAT-XVや今年はAEDD-Trials-XVIWeb会議に参加したが、二回ともひどい目に会った。ヨーロッパもアメリカの会議は、みな真夜中になる。診療を行いながら、寝ずに3-4日間Web会議では死んでしまう。だから、コロナ前と同じく、学会参加は病院におらず外つ方なので、完全休診にし、かかる宿代を通信環境のよいホテルで過ごすが正解。病院にいるでは、発表が目的の場合を除き学会参加の効能はゼロに近い。

当方は国際てんかん学会どころか、国内学会に参加することも難しい診療情況のまま30年となるが、EILATAEDD-Trialsだけは代診、当直医を頼んで何とか参加し始めたのが2008年のことだ。そして、このコロナだ。終熄に数年かかれば、当方が学会の場に居ることはもはやない。

 さて、フクシマ原発の汚染水海洋放出など、ニュウスは事欠かず、目も頭も大忙しだが、のちのち触れることはなかろうから、今回はこれを残しておきたい。パルス・オキシメーター。とてもいい記事だ。

コロナに感染しながらも入院できない自宅療養の患者さんにプレゼントされる器械の前身だ。その開発が紹介されている。会社は、ご存じ脳波計の日本光電。ヨドバシ、ビッグカメラ、ドラッグストアでも買えるから、洗濯バサミとは言い得て妙だ。何と呼ぶかで言えば、話はどんどん面白くなるが、元来は病院にしか置いてない器械で、ベーテル病棟看護室にも五台を常時モニターできる画面付きで置いてある。何代目となるか。簡単にはテレビドラマでよく出てくるピッコピッコだ。それは心電図波形だが、その画面には酸素飽和度(パルス・オキシメーター)の数値含めて色々と配置されている。モニター・ディスプレイ上に見える幾つか普通93以上の数字で出ているもので、大事なことは100を超えることはない、あれだ。当方がその実物を見たのは、1987年に国立療養所山形病院に南東北てんかんセンターを開設した際に、重症心身障害児病棟で採用されていたからだ。かなり奥手となる。

開発者青柳卓雄なる方が島津出身であるとは知らなかった。島津、つまり2002年のノーベル化学賞の田中耕一シニアフェローの会社です。青柳は上司から「ユニークなものを開発せよ」と期待されたとある。たとえば、世界のソニーの伝説を伝えるドキュメンタリーなどでは何回も出てくる台詞だ。大画面のモニターと繋がらないが、血中動脈酸素飽和度SpO2と脈拍がすぐに分かるパルス・オキシメーターは、病院の外来・病棟・検査室でも大活躍だ。だから、患者さんにプレゼントされたものはモニターに繋がらずとも、ものすごーい小物なのです。ノーベル賞に推薦されたという逸話も披露されていますが、たとえば抗生剤のように人命を救った物質の発見者が受賞は沢山いますから、青柳がそうであったれば日本の物創りも変わったんではないかなと、感銘します。

ところで、パルス・オキシメーターはどこの臨床現場でも毎日まいにち、何人もの方が日常的に使用され、途轍もないほどに信頼されています。が、お金的には微々たるもので、酸素を投与した場合だけ、費用が発生する(実に奇妙な用語だが)という茶目っ気たっぷりの器械です。てんかん発作があれば、ベーテルでは群発や重積、あるいは急変を防ぐために24時間、SpOをモニターします。病棟は5―6台は必要ですが、二つ目のモニター画面、つまり10台までは必要とならないのが経験則です。

いい紹介記事です。

Drソガ)