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今週のこの記事一つ:番外2021-16(16) フクシマ第一原発メルトダウン逃避行中に亡くなられたベーテルの患者さんたちの無念を想う−3.112011フクシマ連稿20

2021/06/28-206/30

 

今週のこの記事一つ:番外2021-1616

 

フクシマ第一原発メルトダウン逃避行中に亡くなられたベーテルの患者さんたちの無念を想う−3.112011フクシマ連稿20

 

  処理水放出反対−知事に表明迫る

水産業の壊滅危惧−自民・仁田氏−県議会 

河北新報.2021年6月24日、みやぎ.

  処理水放出は「国が決める」

−県議会 知事、従来姿勢崩さず−

 河北新報. 2021年6月30日、みやぎ.

 

この記事①が、当方の3.112011フクシマ連稿に値いするかはもちろん知らない。しかし、庶民には知りようもない非常に興味深い内容が短い記事の中に詰まり過ぎている。

 一つは与党所属議員ながら知事に噛みつく場面を見せることが、この世にまだ残っていたんだという、素直な驚き。(この一冊の連稿で述べた如く、この10年間、オナガワで県議会与党がよく頑張ったと言う話はなく、失望、いな絶望の短すぎる歴史があった)。この場面、もしかしてではなく、与党議員の選挙目当てだけの、かなりのパフォーマンスで、知事と口裏合わせての劇場かの推測精度はかなり高い。ご本人の本当の立場ならよいのだが。巧みに仕組まれた上手な政治ショーでないことを祈る。

さて、何しろオナガワは仙台湾にはないのだ。この場合、宮城県的に言うのだが、金華山が南北を全て受け止めてくれる。メルトダウン汚染水、つまりスガ処理水はすぐにはオナガワを浸しはしないが、仙台湾には黒潮に乗って猛スピードで襲ってくる。とはいえ、沿岸部の海流の動きや沿岸部沖合の生物生態学の実態こそが興味深々で、地元沿岸の海流学や生物学を研究する学者達のお話をすぐにでも聞きたいぐらいの、それこそ興味深い話、つまり雑学だ。与党議員の地元は本当は仙台湾のヘソ窪地にあるが、湾の中心となる極めて興味深い地理を成す。昔むかし、オナガワ建設の際、原発冷却水が鳴浜の漁業にどんな影響を与えるか、その手の議論を幾つも聞かされた。さて、今度の相手は汚染水、スガ処理水だ。

 短い記事だが、知事の奇妙奇天烈、面白い論理が紹介されている。一つ、処理水が安全だと自分の目で確認した、と。生物学的能力を超えている。「異界に自ら入ってはならない」はずだが。ところで、些少の新たな事実群、フクシマ敷地内に存在する得体の知れない建造物、処理水タンクの劣化問題などの報道事実などの詳細は知事秘書室で完全消化され、己が目で確かめてきたのだろう。ついでの例えでは、ブレイクスルーの成果に沸き立つ学者や研究所のプレスリリースですら、ここまでのウルトラスーパーレヴェルの表現にはならない。

二つ、「県の施策」と「国の判断への対応」とが美事に分別されている。国って何だいまでは問わずとも、この区別はあからさまな論理矛盾で、県などはもともと要らないと言うに等しい。県を国の従属物にしないのが知事の務めだ。知事は昔むかしの天皇拝命(か、あるいは総理大臣任命)だったから。従命しない沖縄記事などは、越権の反逆罪で斬首ものとなろう。

論点を全くはぐらかす思考様式を戦略的に練り上げるのはそう難しくはない。このようにとにかく、「も」を繰り返すことだ。「も」話法の世界。

 

<ここまでが①だった>。本日6月30日、①を補充する記事、宮城県議会6月定例会の報告記事なのだが、②が載った。それによれば、県議会は過去2回、海洋放出に反対する意見書を「全会一致」で可決している。つまり、県議会はまだ(汚染水)処理水放出には反対する力を保持していることになる。とはいえ、ありきたりのパフォーマンスじゃないの、の当方の見解は変わらない。民主的に重要な事態は、県議会与党の意見よりも大事なのが県(誰のこと?)が設置した「官民会議―処理水の取扱いに関する県連携会議」だとしたことだ。ナニモノかはこの時点で知られない。県議会よりも優位な会議を知事が設けることができるのか。実務行政とはそういうことなのか。なら、選挙など要らない。行政学の専門家に聴いてみねば。行政の裏が社会の表にならねばを、とくと説法してもらわねば。

非常な特徴は独特な言い回しだ。「重く受け止めている」だけが、いつも、奇妙に表に出てくる。至極便利な表現で、会見などで、必ず冒頭に、また節々に挿入すれば重くなる。知事答弁集を調査・吟味している研究者もいるはずだから、試用頻度、登場回数を教えてもらわねば。重く受け止める回数が多すぎれば、考慮しないという本音の挨拶言葉と受け取ったがよい。

                       (Drソガ)