2021/03/01
今週のこの1冊202103−01(14)
フクシマ第一原発メルトダウン逃避行中に亡くなられたベーテルの患者さんたちの無念を想う−3.112011フクシマ連稿6
原発は日本を滅ぼす
青谷知巳・小倉志郎・草野秀一・後藤政志・後藤康彦・山際正道.緑風出版、 2021年2月10日発行. 226頁、東京. 1800円.
3月1日だ。3.112011から10年めがあと10日と目前となった。今週からは被災地や被災に関わるどの地域でも、どのグループも、いずれの方々も、もちろんご家族で、またお一人でも、3.112011メモリアルに一時の祈りを捧げるだろう。マスコミも力を入れ込んでの特集をさまざまに工夫している。今年は遅れて、私どもは3月12日に11回目の「3.112011ベーテル、てんかん市民の誓い」の集いの機会を設ける。
いわゆる復興なる直下対策はほぼ終了となる。直接の被災地とする地域の外観は大きく様変わりした。3.112011の研究学者ではない当方には残念な情報が目についてしまう。たまたま被災地宮城にいるので、この一年は殊更に3.112011関連の情報が非常に増えたと思う。(ならデータを示せと神が宣うが、マスコミにもならではのデータ保存、編纂ならびに分析があろうので頼れる)。昨年の3.11からいわゆるスクラップ作業を続けてきたが、本業に障るのでお彼岸の頃にはこれをやめることにした。知らないままいるのは正直に怖いことで、幾分なりとも拾えたような気がする。それなりのスクラップをしながら気づいたのは、数年前から記事や情報の関心や視点の対象、記事や番組の構成の仕方や成文化した記事の内容が少しずつ変容してきている。行政のやってますよの直接宣伝に代わり、被災者の生き様の現実をより具体的に、そしてこの10年間の生き様の変化を伝えようとする明確な意思が打ち出されてきた。この変態化により、被災者の不運や不幸に加えて、その後の生き方をじっくりしっかりと後追いしており、ほのぼのと包んでいる。嬉しい読後感だ。
本題に戻る。再び、緑風出版だ。彼らは随分頑張って出版の努力を重ねている。フクシマを知りたい者には勉強になる情報満載だ。政府権力はもちろん、ゲンパツ推進派からのものはなかなか目に触れない。ながら、怖い話は時々聞く。今風にはフクシマを語ると命を奪われかねないことは、「この一言ありがとう」で既に述べた。一方、フクシマの裏では練りに練られた謀略、莫大な税金投入、とある場合には膨大な裏金、とある場合には日銭報酬がひしめいているらしい。
さて、本書は6名の方の共著だ。題名もそれなりなので、6名の方々の履歴をみる。何と、大変欠礼だが、どなたもご立派なご老体だ。最長老の小倉志郎さんは1941年生まれと書いてある。この方々は敬服ものだ。最後まで反原発を貫いていらっしゃる。などと言えば、別の方角から、非科学的と宣う大合唱、恰も教会音楽(大変失礼な喩えで申し訳ない)のようにねじ伏せにかかられるが。
本書は主に学校の先生方が著した本であるので、いかにも教科書風だ。ので、しっかりと勉強して基礎となる教養を蓄えるには最高の本だ。加えて、上の行文の小倉志郎は「元原発技術者」とあり、第8章「原発は日本の安全上の最弱点」を担当している。学習を楽しみましょう。
3.112011、忘れようもありません。大切な患者さんを失いました。また、スタッフがボロボロと離れて行きました。フクシマに近い県南に住まっていた妊娠期待の方も去り、定員制度が基本の医療現場は崩れました。あるところにはある公序は、ないところには何もない。自助だけの命がけでした。医療制度には共助はありませんでした。いずれ10年目の節目であれ、被災は直接に局地的なことですから、被災地域のみ被災したのです。 (Drソガ)
<目次>
はじめに
第1章 福島原発はどのような事故か
第2章 空気も水も汚染された
第3章 多くの住民が被ばくした
第4章 労働者の被ばくの上に成り立つ原発
第5章 放射線は危ない
第6章 活動的な日本列島と原発は共存できない
第7章 未来に負債を押し付ける原発のゴミの後始末
第8章 原発は日本の安全上の最弱点
第9章 安全な原発などない
第10章 原発の電気は安いはうそ
第11章 原発は環境にやさしいというう嘘
第12章 「原発マネー」は社会を劣化させる
第13章 原発はオワコン・・・・・・なのになぜ固執するのか
参考文献
あとがき