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今週のこの一言ありがとう3/2021(4) 生活保護基準引き下げ 違法 −厚労相は裁量権を逸脱した−

2021/02/24

 

今週のこの一言ありがとう3/2021(4)

 

生活保護基準引き下げ 違法

−厚労相は裁量権を逸脱した−

 

朝日新聞.2021223日、1面、3面、31面、33面.

 

 2月22日、大阪地裁でいわゆる「生活保護基準引き下げ違憲訴訟(いのちのとりで裁判)」の判決が言い渡された。どの新聞も大きく取り上げているが、分量で圧倒的な朝日新聞を引用する。テーマは「ありがたい一言」だ。何がありがたいかだが、「厚生大臣」(いまは厚労相というらしい)が握る裁量権執行に逸脱、乱用があった、としたことだ。それで、何でありがたいか。この場合、1967年の、生存権の定義とも呼ばれ得る最高裁での朝日訴訟判決、「何が健康で文化的な最低限度の生活であるかの認定判断は、厚生大臣の専門技術的な裁量に委ねられる」として厚生行政に与えた裁量権に問題があるとしたからだ。この場合、厚生省に生活保護費減額決定の判断の過程に欠落、過誤があったとしたのだ。行政の何もしなさ過ぎ(不作為)という言葉を私たち国民は知らされた。ところがこちらは、逆にやり過ぎとなる。行政のあり方をクールに診る一つの視点、大臣に「裁量権に逸脱あり」はとても素敵な仮説となり得る。

日弁連関連の生活保護問題対策全国会議の声明が参考になる。「本判決は、国家賠償請求こそ認めなかったとはいえ、原告らの置かれた厳しい生活実態を真摯に受け止め、国が行った生活保護基準引き下げを問題とし、裁量逸脱を認めた。健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を具体的に保障する歴史的な勝訴判決である」とまで評価している。加えて、「いのちのとりで裁判全国アクション」や「きょうされん大阪支部」などが事務局となり、厚生労働大臣は、この判決を真摯に受け止め処分庁である12自治体に対して控訴しないよう指導してください。の請願活動も呼びかけている。

 なお、「朝日訴訟」は何故か当方の古い記憶に中に未だ居る。何の因果で朝日訴訟と関係したかは直接の記憶はないので、青い芝の会や精神障害者の保安処分などと関わるのだろう。当方は朝日訴訟が教科書でも説かれる時代から遙かに古い。厚生大臣の合目的な裁量は違法ではないとする論理を受け容れているはずもない。

Drソガ)

 

<同封資料>

1  生活保護問題対策全国会議―「原告勝訴!」声明:生活保護引下げ違憲訴訟(いのちのとりで裁判)大阪地裁判決について

2 生活保護問題対策全国会議―「呼びかけ」厚労大臣殿、大阪地裁判決に控訴しないで!FAX運動(〜3月8日)