2021/02/08
今週のこの1冊202102−02(11)
フクシマ第一原発メルトダウン逃避行中に亡くなられたベーテルの患者さんたちの無念を想う−3.112011フクシマ連稿3
原発事故!
−事故が起きて何が変わったか、変わらなかったかー
西尾漠著.2018年10月1日発行. 302頁、七つ森書館、東京. 4500円.
3.112011−2021まで、もはや一月あまり。この著者もお若くはない。だけではなく経歴がもの凄い。全く事情に通じないが、1978年に創刊された「はんげんぱつ新聞」なるものがあり、以後その編集に携わっておられる。また、「原子力資料情報室」なるものがあり、その共同代表とのこと。いずれ、1973年から原発問題に挺身されている。次回2月15日は1年前の同日に入手した同じ著者による「反原発運動四十五年史」が予定だが、ひのめを見ることがない一筋の道を弛むことなく萎れることなく歩んでいる方だろう。それだけで敬服する。
23頁にこうある。「美浜原発、高浜原発が比較的にスムースに建設されたのと比べると、抵抗は大きかった。原子炉設置許可申請まで既成事実が進む前に運動が起きていたら、(大飯原発は)阻止できていたかもしれない」。1972年4月4日のことだ。学生だった私には情報があったのかなかったのかすら記憶がない。
さて、著者が取り上げた35件の原発事故については、時間を見つけて目通ししたいが、1971年にフクシマ原発第一の2.5レム事件なるものがあったことは記憶に留めたい。なお、この本の体裁は、お話をいま聞いているようなルポルタージュ記事風の臨場感がある。
(Drソガ)
<目次>
まえがき
Ⅰ. 事故の教訓は1950年代から
Ⅱ. 事故が地元の意識を変えた
Ⅲ. 事故で変わる原子力政策
IV.安易な事故対策は失敗する
V.事故に終わりなし
Ⅵ.事故が「原発銀座」の怒りを呼ぶ
Ⅶ.今に続く事故隠しの「どうねん」体質
Ⅷ.福島原発事故は、事故が予言していた
IX.事故の軽視が新たな事故を準備する
X.防げなかった原発震災 (了)